分ったわ! そうねえ。――分ったわ!」
と云って、それが特徴である考え深い眼差《まなざし》で、何べんもうなずいた。
 私は冗談を云った。
「最後に笑うものは本当に笑うものだから、今のうちに須山に渋顔をしていて貰うさ!」
 伊藤も笑った。
 彼女はそれから自分たちのグループを築地小劇場の芝居を見に連れて行ったことを話した。どの女工も芝居と云えば歌舞伎(自分では見たことが無かったが)か水谷八重子しか知らないのに、労働者だとか女工だとかゞ出てきて、「騒ぎ廻わる」ので吃驚《びっくり》してしまったらしかった。終ってから、あれは芝居じゃないわ、と皆が云う。伊藤が、じア何んだと訊《き》くと、「本当のことだ」と云う。面白い? と訊くと、みんなは「さア――!」と云ったそうだ。――然《しか》し余程びッくりしたとみえて、後になってもよく築地の話をし出すそうである。伊藤に何時でもなつい[#「なつい」に傍点]ている小柄のキミちゃんというのが、
「あたし女工ッて云われると、とッても恥かしいのよ。ところが、あの芝居では女工ッてのを鼻にかけてるでしょう。ウソだと思ったわ。」
 そんなことを云った。が、それでも考え/\
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