刀打ちは出来ないのだ。清川は僚友会の「おん大」の貫禄をみんなの前で下げてしまった。青年団の職工だって、駄目なのだ。だが、こういう社会ファシストの本体というのは本当の芝居を大衆の前ではなくて背《うしろ》の方で打つところに面目があるのだから、これだけでうまく行ったと思えば大間違いなのだ。
その会合の帰り、青年団の奴が二三人で、
「お前は虎だな!」と云って、「一寸来い!」
と云うのだ。そして小路へ入るなり、いきなり寄ってたかって殴ぐりつけた。
「三人じゃ、俺も意気地なくのび[#「のび」に傍点]てしまったよ!」
と須山は笑った。
須山は直ぐ伊藤を通じて、昨日集まった僚友会のメンバーに、この卑怯《ひきょう》なやり方を知らせて貰《もら》うことにした。それが何よりどっちが正しいかを示すことになるからである。
須山に会ってから一時間して、伊藤と会うと、慰問金のことでどうして殴ぐり合いになったかと皆んなが興味をもってきくので、殴ぐり合いのことを話しているうちに慰問金の本当の意味のことが話せて都合が良かったと、喜んでいた。――慰問金のことを充分に皆に分らせることが出来なかったと思って心配したのだが、
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