うことは分りきっている。若《も》しも私たち職工や失業者や貧乏百姓のためにやられているものとしたら、私たちは勿論《もちろん》裸になっても有り金全部は慰問金にして送ってもいゝが、――そうでない。」
 伊藤がそう云うと、青年団の職工が突然口を入れて妨害し出した。それで、須山が割って入った。彼は清川の言葉をそのまゝ使って、「我々労働者は工場にいるときは搾られ、資本家の用事がなくなれば勝手に街頭に放り出され、戦争になれば一番先きに引ッ張り出される。どの場合でもみんな資本家のためばかりに犠牲にされている。――だから、若《も》しも慰問金を出すならば彼奴等[#「彼奴等」に傍点]が出さなければならないのだ!」
 そういうと、皆は又それもそうだというような顔をした。
「慰問金を我々に出させるのは、彼奴等は戦争は自分たちのためにやられているのではなくて、国民みんなのためにやられているのだと思いこませるためのカラクリなのだ。」
 すると、伊藤は須山のあとを取って、「赤い慰問袋」の話をしたり、戦争になってから少しも自分たちが生活が楽にならなかった[#「かった」に傍点]ことなどを話した。そうなると清川たちはモウ太
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