は「ナッパ服」とゝもに「H・S」の誇りだったのだ。
――余裕? 然しこの少しの無理のない決議はこれ以上どうにもならないのですから。
――然し、こっちの……。
森本はくさび[#「くさび」に傍点]を打ち込まなければならない。
――こんな困難な、どんなことになるか分らない時に、その日暮しゝか出来ない我々は、せめてこの機関[#「機関」に傍点]だけを死守しなければならない所へ追いつめられているわけです。さっきから何人も何人もの職工がこゝの壇へ飛び上って、この要求が通らなかったら、全員のストライキに噛じりついても、獲得しなけア駄目だと云ってるのです。我々は勿論ストライキなど、望んでるわけではありません……。
ストライキ! 「今」この言葉が専務と工場長にこたえ[#「こたえ」に傍点]ない筈がないのだ。カムチャツカの六千六百万罐の註文!
――……。
職工たちはなり[#「なり」に傍点]をひそめた。
森本はもう一つ重要な先手を打たなければならなかった。
――勿論「金菱」のことでは、専務自身としても色々と一緒に御相談したいこともあることゝ思いますが……。
専務は急に顔を挙げた。森本は思わず
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