工場細胞
小林多喜二
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)窓枠《まどわく》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)横|穿孔機《ボールバン》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#感嘆符疑問符、1−8−78]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ゴシ/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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上 一
金網の張ってある窓枠《まどわく》に両手がかゝって――その指先きに力が入ったと思うと、男の顔が窓に浮かんできた。
昼になる少し前だった。「H・S製罐《せいかん》工場」では、五ラインの錻刀切断機《スリッター》、胴付機《ボデイ・マシン》、縁曲機《フレンジャー》、罐巻締機《キャンコ・シーマー》、漏気試験機《エアー・テスター》がコンクリートで固めた床を震わしながら、耳をろう[#「ろう」に傍点]する音響をトタン張りの天井に反響させていた。鉄骨の梁《はり》を渡っているシャフトの滑車《プレ
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