集団の彼等は、そのまゝ狭い入口に押していた。
 ――邪魔するに入った奴なら、やッつけッちまえ!
 その時、抑えられたように、下の争いがとまった。と、見張りの一人が、周章てゝ駈けあがってきた。
 ――佐伯の連中が上がるッて云うんだ。それで一もみしてるところへ、専務や工場長や職長が来たんだ。どうする?
 ――よし!
 森本はキッパリ云った。
 ――専務と工場長だけ上げよう。職長や佐伯の連中は絶対に上げないことだ。
 ――そうだ。異議なし!
 一挙に押し切るか、一挙に押しきられるか、そこへ来ている!
 工場長が先に立って、専務が上ってきた。工場長は興奮した唇に力をこめて、キリッとしめていた。然し専務の顔には柔和なほゝえみが浮かんでいた。職工や代表者たちに丁寧《ていねい》に挨拶した。何時もの温厚な専務だった。女工と男工の一部が、さすがに動いた。――専務の持ってきた腹を読んでいる森本は、先手を打って出なければならないことを直感した。この動きかけている動き、先手! これ一つで、この勝負がきまると彼は思っている。専務にたった一言先きに[#「先きに」に傍点]しゃべられることは、この集会をまんまと持って
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