に覚えられてしまった。何かすると、すぐそれを歌い出した。そして歌ってしまってから、「えッ、畜生!」と、ヤケに叫んだ、眼だけ光らせて。
 漁夫達は寝てしまってから、
「畜生、困った! どうしたって眠《ね》れないや」と、身体をゴロゴロさせた。「駄目だ、伜[#「伜」に傍点]が立って!」
「どうしたら、ええんだ!」――終《しま》いに、そう云って、勃起《ぼっき》している睾丸《きんたま》を握りながら、裸で起き上ってきた。大きな身体の漁夫の、そうするのを見ると、身体のしまる[#「身体のしまる」に傍点]、何か凄惨《せいさん》な気さえした。度胆《どぎも》を抜かれた学生は、眼だけで隅《すみ》の方から、それを見ていた。
 夢精[#「夢精」に傍点]をするのが何人もいた。誰もいない時、たまらなくなって自涜[#「自涜」に傍点]をするものもいた。――棚《たな》の隅にカタ[#「カタ」に傍点]のついた汚れた猿又や褌《ふんどし》が、しめっぽく、すえ[#「すえ」に傍点]た臭《にお》いをして円《まる》められていた。学生はそれを野糞のように踏みつけることがあった。
 ――それから、雑夫の方へ「夜這《よば》い」が始まった。バット
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