いるにはいた。
――皆のドカドカッと入り込んできたのに、薄暗いところに寝ていた病人が、吃驚《びっくり》して板のような上半身を起した。ワケを話してやると、見る見る眼に涙をにじませて何度も、何度も頭を振ってうなずいた。
吃りの漁夫と学生が、機関室の縄梯子《なわばしご》のようなタラップを下りて行った。急いでいたし、慣れていないので、何度も足をすべらして、危く、手で吊下《つりさが》った。中はボイラーの熱でムンとして、それに暗かった。彼等はすぐ身体中汗まみれになった。汽罐《かま》の上のストーヴのロストルのような上を渡って、またタラップを下った。下で何か声高《こわだか》にしゃべっているのが、ガン、ガ――ンと反響していた。――地下何百尺という地獄のような竪坑《たてこう》を初めて下りて行くような無気味さを感じた。
「これもつれえ[#「つれえ」に傍点]仕事だな」
「んよ、それに又、か、甲板さ引っぱり出されて、か、蟹たたきでも、さ、されたら、たまったもんでねえさ」
「大丈夫、火夫も俺達の方だ!」
「ん、大丈――夫!」
ボイラーの腹を、タラップでおりていた。
「熱い、熱い、たまんねえな。人間の燻製《く
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