銀棒引き、
函館へ帰ったら、警察に引き渡す。
いやしくも監督に対し、少しの反抗を示すときは銃殺[#「銃殺」に傍点]されるものと思うべし。
浅川監督
雑夫長
[#ここで字下げ終わり]
この大きなビラが工場の降り口に貼《は》られた。監督は弾をつめッ放しにしたピストルを始終持っていた。飛んでもない時に、皆の仕事をしている頭の上で、鴎《かもめ》や船の何処《どこ》かに見当をつけて、「示威運動」のように打った。ギョッとする漁夫を見て、ニヤニヤ笑った。それは全く何かの拍子に「本当」に打ち殺されそうな不気味な感じを皆にひらめかした。
水夫、火夫も完全に動員された。勝手に使いまわされた。船長はそれに対して一言も云えなかった。船長は「看板」になってさえいれば、それで立派な一役だった。前にあったことだった――領海内に入って漁をするために、船を入れるように船長が強要された。船長は船長としての公の立場から[#「公の立場から」に傍点]、それを犯すことは出来ないと頑張《がんば》った。
「勝手にしやがれ!」「頼まないや!」と云っ
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