のだから、よかつたとは思つた。彼は佐多をあまり知らなかつた。同じ運動にゐても、會社員――インテリゲンチヤといふものと、矢張り膚が合はなかつた。別にイヤではなかつた。無關心でゐた、と云つてよかつた。
 然し工藤は、龍吉などゝ同じやうに、かういふインテリゲンチヤがどし/\運動の中に入つてきて、自分達の持てない色々の方面の知識で、ともすれば經驗の少ない向ふ見ずな一本調子になり易い自分達の運動に、厚さと深さとを加へなければならない、と思つてゐた。勿論佐多などには、それらしい多くの缺點はあるにしても、裏にゐてもらつて、その都度――彼でなければならない役に、役立つて貰へればよかつた。殊に工藤は、この方面にはまだ/\自分達が澤山の事をしなければならないものゝある事を考へてゐた。

             ×        ×        ×

 取調べは××の氣狂ひじみた方法で、こゝには書き切れない(それだけで一册の本となすかも知れない)色々な慘虐な稗話[#「稗話」はママ]を作つて、ドシ/\進んで行つた。そして「事實」の確定したものは、札幌の裁判所へ順繰りに送られて、豫審へ廻はされた。
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