房へ移されて行つた。が、××があつてから、齋藤は今迄よりは眼に見えて、もつと元氣になつた。然しその元氣に何處か普通でない――自然でない處があつた。何か話しかけて行つても、うつかりしてゐる事が多く、めづらしく靜かにしてゐる時には、獨りでブツ/\云つてゐた。
澤山の勞働者が次から次へと、現場着のまゝ連れられてきた。毎日――打ツ續けに十日も二十日も、その大檢擧が續いた。非番の巡査は例外なしに一日五十錢で狩り出された。そして朝から眞夜中まで、身體がコンニヤクのやうになる程馳けずり廻はされた。過勞のために、巡査は付添の方に廻はると、すぐ居眠りをした。そして又自分達が檢擧してきた者達に向つてさへ、巡査の生活の苦しさを洩らした。彼等によつて××をされたり、又如何に彼等が反動的なものであるかといふ事を色々な機會にハツキリ知らされてゐる者等にとつて、さういふ巡査を見せつけられることは「意外」な事だつた。いや、さうだ、矢張り「そこ」では一致してゐるのだ。たゞ、彼等は色々な方法で目隱しをされ、その上催眠術の中にうま[#「うま」に傍点]/\と落されてゐるの[#「ゐるの」は底本では「ゐの」]だつた。では、ど
前へ
次へ
全99ページ中86ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
小林 多喜二 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング