てゐても、然しそれでは何處へ訴へてよかつたか?――裁判所? だが、外見はどうあらうと、それだつて警察とすつかりグルになつてるではないか。××の内では何をされても、だからどうにも出來なかつた。これは面白い事ではないか。
「これが今度の大立物さ」×××が云つてゐる。彼はグラ/\する頭で、さういふのを聞いてゐた。
次ぎに、龍吉は着物をぬがせられて、三本一緒にした××で×××つけられた。身體全體がピリンと縮んだ。そして、その端が胸の方へ反動で力一杯まくれこんで、×××ひこんだ。それがかへつてこたえた。彼のメリヤスの冬シヤツがズタ/\に細かく切れてしまつた。――彼が半分以上も自分ので×××××××××を、やうやく巡査の肩に半ば保たせて、よろめきながら廊下を歸つてゆくとき、彼が一度も「××」を受けた事のなかつた前に、それを考へ恐れ、その慘酷さに心から慘めにされてゐた事が、然し實際になつてみたとき、ちつともさうではなかつた事を知つた。自分がその當事者にいよ/\なり、そしてそれが今自分に加へられる――と思つたとき、不思議な「抗力?」が人間の身體にあつた事を知つた。××てくれ、××てくれと云ふ、然し本
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