。そこをつかまえたのだから「この野郎、半×しにしてやれる」と喜んだ。
渡は、一言も取調べに對しては口を開かなかつた。「どうぞ、勝手に。」と云つた。
「どういふ意味だ。」司法主任と特高がだん/\アワを食ひ出した。
「どういふ意味でゝも。」
「××するぞ。」
「仕方がないよ。」
「天野屋氣取りをして、後で青くなるな。」
「貴方達も案外眼がきかないんだな。俺が××されたら云ふとか、半×しにされたからどうとか、そんな條件付きの男かどうか位は、もう分つてゐてもよささうだよ。」
彼等は「本氣」にアワを食つてきた。「渡なら」と思ふと、さうでありさうで内心困つたことだと思つた。何故か? 彼等が若し、この×××の「元兇」から一言も「聞取書」が取れないとなると、(が、何しろ元兇だから一寸×せはしないが、)逆に、自分達の「生首」の方が危なかつた。――何より、それだつた。
渡は×にされると、いきなりものも云はないで、後から(以下十行削除)手と足を硬直さして、空へのばした。ブル/\つとけいれん[#「けいれん」に傍点]した。そして、次に彼は××失つてゐた。
然し渡は長い間の××の經驗から、丁度氣合術師が平
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