は底本では「讀んだ」]何處にも書かれる男と女の生殖器が大きく二つも三つもあつた。
「俺は泥棒ですよ、ハイ。」「こゝの××は劍難死亡の相あり――骨相家。」「×事、×事、×事、×、×。(これが未來派のやうな字體で。)「不良青年とは、もつとも人生を眞劍に渡る人のことでなくして何んぞや。呵々」「社會主義者よ。何んとかしてくれ。」「お前が社會主義になれ。」男と女の生殖器を向ひ合せて書いてある下に「人生の悲喜劇は一本[#「一本」に丸傍点]に始つて、一本に終るか。嗚呼[#「嗚呼」は底本では「鳴呼」]。」「私は飯が食えないんです。」「署長よ。お身の令孃には有名な蟲が喰ツついてゐる。」「何んでえ、こつたら處。誰がおつかながるものか。」「勞働者よ、強くなれ。」「こゝに入つてくるあらゆる人に告ぐ。樂書はみつともないから止しにしやう。」「糞でも喰らえ。」「不當にも自由を束縛されたものにとつて、樂書は唯だ一つののび/\[#「のび/\」に傍点]と解放された樂天地だ。こゝに入つてくるあらゆる人に告ぐ。大いに樂書をしたまへ。」「勞働者がこの頃生意氣になりました。」「この野郎、もう一度云つてみろ、たゝき殺してやるぞ。勞
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