翩翩
蒲松齢
田中貢太郎訳
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)羅子浮《らしふ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)皆|真《ほんとう》の
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「巾+僕のつくり」、第3水準1−84−12]《ずきん》
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羅子浮《らしふ》は汾《ふん》の人であった。両親が早く亡くなったので、八、九歳のころから叔父《おじ》の大業《たいぎょう》の許へ身を寄せていた。大業は国子左廂《こくしさしょう》の官にいたが、金があって子がなかったので、羅をほんとうの子供のようにして可愛がった。
羅は十四になって、良くない人に誘われて遊廓《ゆうかく》へ遊びにいくようになった。ちょうどその時金陵から来ている娼婦《しょうふ》があって、それが郡の中に家を借りて住んでいた。羅はそれに惑溺《わくでき》して通っていたが、そのうちに娼婦《おんな》は金陵へ返っていった。羅はそっと娼婦について逃げ出し、金陵へいって娼婦の家に半年ばかりもいたが、金がなく
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