ていたところで、南の家に怪しい死体が新人になってきたという噂が聞えてきたので数人の従者を伴れて南の家へ往った。
「怪しい死体を見せてもらいたい」
 南も厭とは言えなかった。南は孝廉を案内して死体を置いてある室へ往った。孝廉は死体を一眼見て叫んだ。
「嬢だ、嬢だ、家の嬢だ、嬢の死体を盗んだ者は、此処の悪党だ、ふん縛れ」
 従者は南を取って押えて縄をかけた。孝廉はそれを府庁に送った。府庁でも南の家の再三の怪事を見て、南の悪行の報いであるとし、冢《つか》を発《あば》くの罪に問うて南を死刑に処した。



底本:「中国の怪談(二)」河出文庫、河出書房新社
   1987(昭和62)年8月8日初版発行
底本の親本:「支那怪談全集」桃源社
   1970(昭和45)年11月30日発行
入力:Hiroshi_O
※「要路の吏に賄賂を用いたので」「蹴開くようにして入ってきた者があった」は、それぞれ「要路の吏に賄路を用いたので」「蹴開くようにして入ったきた者があった」でしたが、親本を参照して直しました。
校正:門田裕志、小林繁雄
2003年8月3日作成
青空文庫作成ファイル:
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