ってくれ。もしとがめがあるなら、僕が身をすてて、それを受けよう。」
賓娘はそこで喜んで、喬と連城について出た。喬は道が遠くて賓娘に侶《つれ》のないのを心配した。賓娘はいった。
「私は、あなたについてゆきます。帰りたくはないのです。」
喬はいった。
「君はばかだよ。帰らなくてどうして生きかえることができる。僕が他日《さき》で湖南にゆくから、その時逃げないようにするがいい。機嫌よくね。」
ちょうど二人の老婆が地獄の文書を持って長沙にゆこうとしていた。喬はそれに賓娘を頼んだ。賓娘は泣いて別れていった。喬と連城は二人で帰りかけたが、連城の足が遅くて、すこしいくとすぐ休んだ。およそ十回あまりも休んだところで、やっと村の入口の門が見えた。連城はいった。
「生きかえって後に、また約束をやぶるようなことがあってはいけないです。どうか私のむくろ[#「むくろ」に傍点]を取って来てください。私はあなたの家で生きかえります。私はすこしも悔《うら》むことがないのです。」
喬はそれをもっともなことだと思ったので、一結に自分の家へ帰っていったが、連城は心配して歩くことができないふうがあった。喬は足をとめて待
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