のために、いいようにして来た。それから連城の方も君と一緒に魂を返すことにしたのだが、どうだね。」
喬と連城とは喜んで、顧を拝んで別れようとした。賓娘は大声をあげて泣いた。
「姉さんがいって、私はどこへいくのです。どうか私もたすけてください。私は姉さんの侍女になるのですから。」
連城は女がいたましかったが、どうすることもできなかった。連城はそこで喬に相談をした。喬はまた顧に頼んだ。顧はとてもできないときっぱりいいきった。喬は強いてそれを頼んだ。そこで顧は、
「それじゃ、せんぎをしてみよう。」
といっていってしまったが、食事する位の時間をおいて返って来て、手をふっていった。
「これは、もう、どうにもしょうがないのだ。」
賓娘はそれを聞くとあまえるように泣いて、連城の肘《て》にすがり、連城にいかれるのを恐れるのであった。それは惨憺《さんたん》たるものであったが、他にどうすることもできないので、顔を見合わしたままで黙っていた。しかも女の悲しそうな顔といたましい姿《すがた》とは、人をしてその肺腑を苦しましめるものがあった。顧は憤然《ふんぜん》としていった。
「どうか、賓娘を伴《つ》れてい
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