はそこで人をやって孝廉に来てもらって、連城の死骸をもらいたいといって、
「私がきっと生きかえらします。」
 といった。孝廉はその言葉に従って、連城の死骸を舁《かつ》がせて来たが、その室に入ったところを見ると、もう生きかえっていた。連城は父を見ていった。
「私は、もう、この身を喬さんにまかせてあるのです。もう家へ帰っていくわけはありません。もし、それを変えるなら私は死んでしまいます。」
 孝廉は帰って婢《じょちゅう》をやって連城にかしずかした。王はそれを聞いて訴え出た。官吏は賄賂を受けて裁判を王の勝にした。喬は憤って死のうとしたが、どうすることもできなかった。
 連城は王の家へいったが、忿《いか》って飲食をしないで、ただ早く死なしてくれといった。室に人のいないのを見ると梁《はり》の上に紐をかけて死のうとした。そして翌日になってますますつかれ、殆《ほと》んど息が絶えそうになった。王は懼《おそ》れて、送って孝廉の許に帰した。孝廉はまたそれを舁がして喬の許へ帰した。王の方ではそれを知ったけれども如何《いかん》ともすることができなかった。そこでとうとう連城も心が安まるようになった。
 連城は起き
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