た。と李がたちまち来たが数日隔てていたのでひどく怨んでいるようであった。桑は言った。
「蓮香が僕の病気を癒してくれたから、逢われなかった、まあ、そんなにおこらないがいい、皆僕の心の中にあることなのだから」
そこで李の感情がやわらいできた。桑は李の耳に囁いた。
「僕は、君を愛しているのだが、君を人間じゃないというものがあるがね」
李は黙ってしまった。そして、暫くして怒りだした。
「きっと、あの狐が言ったのだわ、もし、あなたが、それと関係を絶たないなら、私もうこないわ」
とうとう李はなきじゃくりをはじめた。桑は困って、いろいろ言ってなだめたので、やっとおさまった。
その翌晩蓮香が来たが、李のまた来たことを知って怒った。
「あなたはそんなに死にたいのですか」
桑は笑って言った。
「君はあんまりやきすぎるよ」
蓮香はますます怒った。
「あなたが死病の根を植えつけたのを、私がやっと除《と》ったじゃありませんか、やかないあの人は、あなたをどうしようというのです」
桑はそこで女の言葉をはぐらかそうと思って、冗談を言った。
「あれが言ったが、この間の病気は狐の祟《たたり》だってね」
「そ
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