の李は桑に言った。
「私と蓮香姉さんは、両世の情好がありますから、離れているのに忍びません、どうかいっしょの穴に埋めてください」
 桑はその言葉に従って李の塚を開いて骨《こつ》を得て帰り、それを蓮香の墓に合葬した。親戚朋友がその不思議を聞き伝えて、祭祀の時のような服装をしてきたが、期せずして二三百人の者があつまった。
 予(蒲松齢《ほしょうれい》)は庚戌《こうじゅつ》の歳《とし》、南に遊んで泝州に往き、雨にへだてられて旅舎に休んでいたが、そこに劉生子敬という者がある。その中表親に当る同社の王子章の撰する所の桑生伝を見せてくれたがこれはその梗概である。



底本:「中国の怪談(二)」河出文庫、河出書房新社
   1987(昭和62)年8月4日初版発行
底本の親本:「支那怪談全集」桃源社
   1970(昭和45)年11月30日発行
入力:Hiroshi_O
校正:小林繁雄、門田裕志
2003年9月29日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランテ
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