緑衣人伝
田中貢太郎
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)趙源《ちょうげん》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)西湖|葛嶺《かつれい》の麓
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「王+(「毒」のあしが「母」)」、第3水準1−88−16]瑁《たいまい》
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趙源《ちょうげん》は家の前へ出て立った。路の上はうっすらと暮れかけていた。彼はその時刻になってその前を通って往く少女を待っているところであった。緑色の服装をして髪を双鬟《ちごわ》にした十五六になる色の白い童女で、どこの家のものとも判らないし、また、口を利《き》き合ったというでもないが、はじめて顔を合わした時から、その潤みのある眼元や口元に心を引きつけられていた。そして、翌晩となり、翌々晩となるに従って、二人の間は非常に接近したように思われた。
その晩は四日目の晩であった。源は今晩こそ少女に言葉をかけようと思っていた。初心《うぶ》な彼は、その翌晩あたりから何か少女に言ってみたい
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