藁屋根のある方から十歳《とお》位に見える色の白い小供が来ている。と、此方から一人の小供が往って往きあうなり何か云っていたが、直ぐ二人で伴れ立って此方へ来た。小供達はそれを見ると云いあわしたように起きあがった。松の浮根に乗っていた小供は二人の前へ立ち塞がるように出た。
「お前は何と云う名じゃ」
色の白い小供は足を止めた。
「おいらは源吉と云うのだ」
「そうか源吉か、今日からいっしょに遊うでやるから、彼の神様の前へ往って」松の浮根に乗っていた小供は、祠の方へ指をさして「地べたへ坐って、お諏訪様、お諏訪様、いっしょに遊びましょうと云いな。お諏訪様は小供が好きじゃから、出て来ていっしょに遊うでくれる、なあ、みんな」
松の浮根に乗っていた小供の詞《ことば》に続いて皆が返事をした。
「そうじゃ」
「そうじゃ」
「そうじゃ」
源吉と云った小供ははにかむように眼を伏せながら聞いた。
「お諏訪様ってどんなものだ」
「そうじゃ、白い、白い蛇のような姿をしておるよ」
「白い蛇」
源吉はちょっと驚いたように云って相手の顔を見た。
「そうじゃ、白い蛇じゃが、神様じゃから怕いことはないよ」
「そう」
「や
前へ
次へ
全27ページ中7ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
田中 貢太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング