封三娘
蒲松齢
田中貢太郎訳

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)范《はん》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)今|精《くわ》しく

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「田+鹿」、330−1]
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 范《はん》十一娘は※[#「田+鹿」、330−1]城《ろくじょう》の祭酒《さいしゅ》の女《むすめ》であった。小さな時からきれいで、雅致《がち》のある姿をしていた。両親はそれをひどく可愛がって、結婚を申しこんで来る者があると、自分で選択さしたが、いつも可《よ》いというものがなかった。
 ちょうど上元《じょうげん》の日であった。水月寺の尼僧達が盂蘭盆会《うらぼんえ》を行ったので、その日はそれに参詣《さんけい》する女が四方から集まって来た。十一娘も参詣してその席に列っていたが、一人の女が来て、たびたび自分の顔を見て何かいいたそうにするので、じっとその方に目をつけた。それは十六、七のすぐれてきれいな女であった。十一娘はその女が気に入ってうれし
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