美女を盗む鬼神
田中貢太郎

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)梁《りょう》の武帝

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)美酒《びしゅ》一|斛《こく》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)欧陽※[#「糸+乞」、第3水準1−89−89]《おうようこつ》
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 梁《りょう》の武帝の大同の末年、欧陽※[#「糸+乞」、第3水準1−89−89]《おうようこつ》という武人が、南方に出征して長楽という処に至り、その地方の匪乱《ひらん》か何かを平定して、山間嶮岨《さんかんけんそ》の地へ入った。その※[#「糸+乞」、第3水準1−89−89]は陣中に妻を携えていたが、その女は色が白く顔が美しかった。するとその地方の人が、
「君は何故美女を携えてここへ来た、ここには鬼神があって、美女と見れば必ず盗むので、往来の者でこの難に罹《かか》る事がある、君も能《よ》く守るがいい」
 と言った。※[#「糸+乞」、第3水準1−89−89]はまさかと思って疑ったが、それでも軍
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