田七郎
蒲松齢
田中貢太郎訳
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)武承休《ぶしょうきゅう》は
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)皆|濫交《らんこう》だ
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「足へん+倍のつくり」、第3水準1−92−37]《たお》れた
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武承休《ぶしょうきゅう》は遼陽《りょうよう》の人であった。交際が好きでともに交際をしている者は皆知名の士であった。ある夜、夢に人が来ていった。
「おまえは交游天下に遍《あまね》しというありさまだが、皆|濫交《らんこう》だ。ただ一人|患難《かんなん》を共にする人があるのに、かえって知らないのだ。」
武はそこで訊いた。
「それは何という人でしょうか。」
その人はいった。
「田《でん》七郎じゃないか。」
武は夢が醒《さ》めて不思議に思い、朝になって友人に逢って、田七郎という者はないかと訊いてみた。友人の一人に知っている者があって、それは東の村の猟師《りょうし》であるといった。武
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