日本天変地異記
田中貢太郎

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)縁取《ふちど》られ

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)潮|凝《こ》りて

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「石+殷」、第3水準1−89−11]馭盧《おのころ》島
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     序記 国土成生の伝説

 大正十二年九月一日の大地震及び地震のために発したる大火災に遭遇して、吾吾日本人は世界の地震帯に縁取《ふちど》られ、その上火山系の上に眠っているわが国土の危険に想到して、今さらながら闇黒な未来に恐怖しているが、しかし考えてみれば、吾吾は小学校へ入った時から、わが国土が地震と火山とに終始していて、吾吾国民の上には遁《のが》れることのできない宿命的な危険が口を開いて待っているということを教えられていたように思われる。それは日本歴史の初歩として学ぶ国作りの伝説である。
 国作りの伝説は、「古事記」や「日本書紀」によって伝えられたもので、荒唐無稽な神話のように思われるが、わが
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