国土が地震帯に縁取られ火山脈の上にいるということから考え合わすと、決して仮作的な伝説でないということが判る。「日本書紀」には、「伊弉諾尊《いざなぎのみこと》、伊弉冉尊《いざなみのみこと》、天の浮橋の上に立たして、共に計りて、底つ下に国や無からんとのり給ひて、廼《すなは》ち天《あめ》の瓊矛《ぬぼこ》を指しおろして、滄海を探ぐりしかば是《ここ》に獲き。その矛の鋒《さき》より滴《したた》る潮|凝《こ》りて一つの島と成れり。※[#「石+殷」、第3水準1−89−11]馭盧《おのころ》島と曰ふ。二神是に彼の島に降居まして、夫婦して洲国を産まんとす。便ち※[#「石+殷」、第3水準1−89−11]馭盧島をもて国の中の柱として、(略)産みます時になりて、先づ淡路洲を胞となす。(略)廼ち大日本豊秋津洲を生む。次に伊予の二名洲を生む。次に筑紫洲を生む。次に億岐《おき》洲と佐渡洲を双子に生む。(略)次に越洲を生む。次に大洲を生む。次に吉備子洲を生む。是に由りて大八洲国と曰ふ名は起れり。即ち対馬島、壱岐島及び処処の小島は皆潮沫の凝りて成れるなり。亦《また》水沫の凝りて成れりと曰ふ。次に海を生む。次に川を生む。次
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