の店へ往った。
 夜の内に帰るはずの文世高が帰らないので、朝早く起きて裏門口へ容子を見に往ったりしていた老婆は、劉家の使に接して心が顫えた。しかし、病気でもないのに往かないわけにゆかないので、おそるおそる使の者に随いて往った。
 使の者は老婆を花園の方へ導いた。そこには夫人が泣きながら立っていた。
「お婆さん、お前さんは、よくもうちの児《こども》を殺してくれたね」
 老婆は文世高の忍び込んだことが顕われたと思った。
「奥様、私は何も存じません、ただ文世高とお嬢さんが、想いあって、詩のやりとりをしておったことは知っております」
「お婆さん見てやってくださいよ、うちの児はこんな姿になりましたよ」
 棲雲石のそばには二つの死骸が見えて劉万戸が立っていた。老婆はふらふらその傍へ往った。血の気を失った文世高の顔、秀英の顔。老婆は心から悲しくなって泣きだした。その老婆の耳へ劉万戸の声が聞えてきた。
「佳いことをしでかしてくれて、泣いてもらうにはおよばないよ、だが、しかし、もう、なんと言ってもおっつかない、それよりは他へ知れないように、この二つの死骸の始末をしなくてはいけない、小厮《やといにん》にも
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