ともできなかった。
「出来た出来た、長竿恠《ちょうかんかい》」
皆が手を叩いて囃《はや》したてた。大異はどうすることもできなかった。大王は笑って言った。
「それが苦しければ代えてやってもいい、石を※[#「者/火」、第3水準1−87−52]《た》いて汁をこしらえるか、それとも一尺の体になるか」
大異は自分独りで立っていられないよりも、一尺の体の方がいいと思った。
「どうか、一尺の体にしてくださいますように」
「よし、一尺の体になりたいのか、皆、その人間を一尺の体にしてやれ」
大異の体はまた石床の上へ引擦り倒されて、縮めるように頭と足を捺されたり、また麪《めん》をこしらえるように按《も》まれたりした。骨が折れて肉が破れるような痛みに包まれていた大異は、いつの間にか自分の体が小さな蟹のようになっているのに気が注《つ》いた。
「彭※[#「虫+其」、267−15]怪《ほうきかい》」
「彭※[#「虫+其」、267−16]怪」
皆が手を拍って笑った。大異は苦痛に耐えられないで体を悶掻《もが》き悶掻きその辺を這った。
そこに年取った怪物がいた。怪物は掌を拍って笑って言った。
「お前さんは、平
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