水莽草
田中貢太郎
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)水莽《すいぼう》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)三|娘《じょう》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)帰※[#「宀/必/冉」、246−7]《さとがえり》
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水莽《すいぼう》という草は毒草である。葛《かずら》のように蔓生しているもので、花は扁豆《へんとう》の花に似て紫である。もし人が誤って食うようなことでもあるとたちどころに死んだ。そして、その水莽草を食って死んだ者の鬼《ゆうれい》を水莽鬼《すいぼうき》というのであるが、言い伝えによると、この鬼は輪廻《りんね》を得て来世に生れてくることができないので、その草を食って死ぬる者のあるのを待っていて自分の代りにし、それによって生れ代るといわれている。それ故に水莽草の多い楚中《そちゅう》の桃花江《とうかこう》一帯には、この鬼が最も多いとのことであった。
この水莽鬼の伝説のある楚の地方では、同じ干支《えと》に生れた同年の者が交際する
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