蛇性の婬
雷峯怪蹟
田中貢太郎

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)紀《き》の国《くに》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)家|豊《ゆたか》に暮していたが

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「糸+賺のつくり」、第3水準1−90−17]《かとり》
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 紀《き》の国《くに》の三輪《みわ》が崎《さき》に大宅竹助《おおやのたけすけ》と云うものがあって、海郎《あま》どもあまた養い、鰭《はた》の広物《ひろもの》、狭《さ》き物《もの》を尽して漁《すなど》り、家|豊《ゆたか》に暮していたが、三人の小供があって、上の男の子は、父に代って家を治め、次は女の子で大和《やまと》の方へ嫁入し、三番目は又男の子で、それは豊雄《とよお》と云って物優しい生れであった。常に都風《みやび》たる事を好んで、過活心《わたらいごころ》がないので、家の者は学者か僧侶かにするつもりで、新宮《しんぐう》の神奴《かんぬし》安部弓麿《あべのゆみまろ》の許《もと》へ通わしてあっ
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