庚娘
蒲松齢
田中貢太郎訳
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)金大用《きんたいよう》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|艘《そう》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「竹かんむり/高」、第3水準1−89−70]《さお》
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金大用《きんたいよう》は中州《ちゅうしゅう》の旧家の子であった。尤《ゆう》太守の女《むすめ》で幼な名を庚娘《こうじょう》というのを夫人に迎えたが、綺麗《きれい》なうえに賢明であったから、夫婦の間もいたってむつましかった。ところで、流賊の乱が起って金の一家も離散した。金は戦乱の中を両親と庚娘を伴《つ》れて南の方へ逃げた。
その途中で金は少年に遇った。それも細君《さいくん》と一緒に逃げていく者であったが、自分から、
「私は広陵《こうりょう》の王《おう》十八という者です。どうか路案内をさしてください。」
といった。金は喜んで一緒にいった。河の傍《そば》へいった時、庚娘はそっと金に囁《ささや》いた。
「
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