五通
蒲松齢
田中貢太郎訳

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)五通《ごつう》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)二|疋《ひき》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「足へん+倍のつくり」、第3水準1−92−37]《たお》れた
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 南方に五通《ごつう》というみだらにして不思議な神のあるのは、なお北方に狐のあるようなものである。そして、北方の狐の祟《たた》りは、なおいろいろのことをして追いだすことができるが、江蘇浙江《こうそせつこう》地方の五通に至っては、民家に美しい婦《おんな》があるときっと己《おのれ》の所有として、親兄弟は黙って見ているばかりでどうすることもできなかった。それは害毒の烈《はげ》しいものであった。
 呉中の質屋に邵弧《しょうこ》という者があった。その細君は閻《えん》といって頗《すこぶ》る美しい女であったが、ある夜自分の内室《いま》にいると一人の若い強そうな男が外から不意に入って来て、剣に手をかけて四辺《あたり》
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