義猴記
田中貢太郎
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)万暦《まんれき》年中
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)日々一|疋《ぴき》の
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「やまいだれ+(夾/土)」、第3水準1−88−54]《うず》めた
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支那の万暦《まんれき》年中、毘陵《びりょう》に猿曳《さるひき》の乞児《こじき》があって、日々一|疋《ぴき》の猴《さる》を伴《つ》れて、街坊《まち》に往き、それに技をさして銭を貰っていたが、数年の後にその金が集まって五六両になった。その乞児は某《ある》日|知合《しりあい》の乞児といっしょに酒を飲んだが、酔って蓄えている金の事を誇り顔に話した。相手の乞児はそれを聞くと、急に悪心を起して酒の中へ毒を入れて飲ましたので、その乞児は死んでしまった。相手の乞児は猿曳の蓄えてあった金を奪い、その死骸を野外に運んで往って※[#「やまいだれ+(夾/土)」、第3水準1−88−54]《うず》めた。そのうえ、相手の
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