嬰寧
蒲松齢
田中貢太郎訳

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)王子服《おうしふく》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)皆|茅葺《かやぶき》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「くさかんむり/呂」、第3水準1−90−87]《きょ》
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 王子服《おうしふく》は※[#「くさかんむり/呂」、第3水準1−90−87]《きょ》の羅店《らてん》の人であった。早くから父親を失っていたが、はなはだ聡明で十四で学校に入った。母親がひどく可愛がって、ふだんには郊外へ遊びにゆくようなこともさせなかった。蕭《しょう》という姓の家から女《むすめ》をもらって結婚させることにしてあったが、まだ嫁入って来ないうちに没《な》くなったので、代りに細君となるべき女を探していたが、まだ纏《まと》まっていなかった。
 そのうちに上元《じょうげん》の節となった。母方の従兄弟《いとこ》に呉《ご》という者があって、それが迎いに来たので一緒に遊びに出て、村はずれまでいった時
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