黄英
田中貢太郎

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)馬子才《ばしさい》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)肥えた田を二十|頃《けい》買って、

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]して
−−

 馬子才《ばしさい》は順天《じゅんてん》の人であった。その家は代々菊が好きであったが、馬子才に至ってからもっとも甚しく、佳い種があるということを聞くときっと買った。それには千里を遠しとせずして出かけて往くという有様であった。
 ある日、金陵の客が来て馬の家に泊ったが、その客が、
「自分のいとこの家に、佳い菊が一つあるが、それは北の方にはないものだ」
 と言った。馬はひどく喜んで、すぐ旅装を整えて、客に従《つ》いて金陵へ往ったが、その客がいろいろと頼んでくれたので、二つの芽を手に入れることができた。馬はそれを大事にくるんで帰ってきたが、途の中ほどまで帰った時、一人の少年に逢った。
次へ
全15ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
田中 貢太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング