葉書
石川啄木

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)老爺《おやぢ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)二人|限《きり》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「がんだれ+萬」、第3水準1−14−84]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)そも/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−

 ××村の小學校では、小使の老爺《おやぢ》に煮炊《にたき》をさして校長の田邊が常宿直をしてゐた。その代り職員室で使ふ茶代と新聞代は宿直料の中から出すことにしてある。宿直料は一晩八錢である。茶は一斤半として九十錢、新聞は郵税を入れて五十錢、それを差引いた殘餘の一圓と外に炭、石油も學校のを勝手に使ひ、家賃は出さぬと來てるから、校長はどうしても月五圓|宛《づゝ》徳《とく》をして居る。その所爲《せゐ》でもあるまいが、校長に何か宿直の出來ぬ事故のある日には、此木田訓導に屹度差支へがある。代理の役は何時でも代用教員の甲田
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