。』
『呼んだら來るだらう。』
『來てから何を喰はせる。』
『那※[#「麾」の「毛」に代えて「公の右上の欠けたもの」、第4水準2−94−57]《そんな》心配は不要《いらん》よ。』
『不要《いらない》こともない。僕の心配は天下にそれ一つだ。今まで八圓ぢや仲々喰へなかつたからね。』
『大丈夫だよ。那※[#「麾」の「毛」に代えて「公の右上の欠けたもの」、第4水準2−94−57]《そんな》事は。』
『然《さう》かへ。』
『まあ僕に委せるさ。』
『※[#「口+云」、第3水準1−14−87]《うん》、任せよう。』
『忠志君の話の方が駄目にしても、何か必ず見付けるよ。』
『然か。』
『君は英語が巧い筈だツけね。』
『筈には筈だツけが、今は怎《どう》だかな。』
『まあ可《いゝ》さ。但し當分は先づ食ツて行けるだけでも、仕方がないから辛抱するさ。』
『委《まか》せたんだから、君が可《い》い樣にしてくれるさ。』
『秋まで辛抱してくれ給へ。そしたら何か必ず行《や》らう、ね君。』
『※[#「口+云」、第3水準1−14−87]。やるとも。』と云ツて、肇さんは復仰向になつた。
會話《はなし》が斷《き》れると、浪の
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