へたでもないのに三尺さんといふ綽名《あだな》をつけましてね。幾何《いくら》叱つても山内さんを見れや然う言ふもんですから困つて了ひますよ。ホホヽヽ。七月兒だつてのは眞箇《ほんと》で御座いませうかね?』
『ハッハヽヽ。怎うですか知りませんが、那※[#「麾」の「毛」にかえて「公」の右上の欠けたもの、第4水準2−94−57]《あんな》に生れついちやお氣の毒なもんですね。顏だつても綺麗だし、話して見ても色ンな事を知つてますが……。』
『えゝえゝ。』とお柳は俄かに眞面目臭つた顏をして、
『それやもう山内さんなんぞは、體こそ那※[#「麾」の「毛」にかえて「公」の右上の欠けたもの、第4水準2−94−57]《あんな》でも、兎に角一人で喰つて行くだけの事をしてらつしやるんだから立派なもので御座いますが、昌作叔父さんと來たらまあ怎うでせう! 町の人達も嘸小川の剩《あまさ》れ者だつて笑つてるだらうと思ひましてね。』
『其※[#「麾」の「毛」にかえて「公」の右上の欠けたもの、第4水準2−94−57]《そんな》ことは御座いません……。』
と加藤が何やら言はうとするのを、お柳は打消す樣にして、
『學校は勝手に廢《や
前へ 次へ
全201ページ中38ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
石川 啄木 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング