たんです?』
『そして、瞭然《きつぱり》言つて了ひましたの。……貴方には甚※[#「麾」の「毛」にかえて「公」の右上の欠けたもの、第4水準2−94−57]《どんな》に御迷惑だらうと思つて、後で私……』
『解りました、智惠子さん!』恁う言つて、吉野は強く女の手を握つた。『然《さ》うでしたか!』と、がつしりした肩を落す。
智惠子はグンと胸が迫つた。と同時に、腹の中が空虚になつた樣でフラ/\とする。で男の手を放して人々の後に蹲《しやが》んだ。
目の前には眞黒な幾本の足、彼方の篝火がその間から見える。――智惠子は深い谷底に一人落ちた樣な氣がして涙が溢れた。
『あら、先刻《さつき》から被來《いらし》つて?』と後ろに靜子の聲がした。
吉野の足は一二尺動いた。
『今來た許りです。』
『然《さ》うですか! 兄は怎《ど》うしたんでせう、今方々探したんですけれど。』
『學校ですよ、屹度。』と清子が傍から言ふ。
『オヤ、日向さんは?』と、靜子は周圍を見※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]す。
智惠子は立ち上つた。
『此處にゐらしつたわ!』
『立つてると何だかフラ/\して、私|蹲《しやが》んでゐま
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