何か昌作に説明して聞かしてゐた。
一通りの挨拶が済むと、富江はすぐ立つて、壁に立掛けてある書きかけの水彩画を見る。信吾はゴロリと横になつて、その画のことを吉野と語る。
『昌作さん。』と富江が呼びかけた。『貴方昨日町へ被行《いらし》つて?』
『行つた。山内へ見舞に。』
『奈何でしたの、御病気は?』と笑つてゐる。
『それや可哀想ですよ。臥《ね》たり起きたりだが、今年中に死ぬかも知れないなんて言つてるもの』
『其※[#「麾」の「毛」にかえて「公」の右上の欠けたもの、第4水準2−94−57]に悪いかねえ。それや可哀想だ。何しろ那《あ》の体だからなア。』と信吾は別に同情した風もなく言ふ。
『盛岡に帰るさうだ。四五日中に。』
『昌作さん。』と富江は再《また》呼んだ。そして急しく吉野と信吾の顔を見巡して、
『好《い》い物上げませうか、貴方に?』
『何です?』
『好い物なら僕も貰ひたいな。』
『信吾さんには可厭《いや》。ねえ昌作|様《さん》、上げませうか?』
『何だらうな!』と昌作は躊躇する。
『二人が喧嘩しちや可けないから僕が貰ひませうか?』と吉野は淡白《きさく》に笑ふ。
『ねえ昌作様、誰方《どな
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