赤痢
石川啄木

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)凹凸《でこぼこ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)日一日|破風《はふ》と

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「奚+隹」、第3水準1−93−66]くらゐな

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)辛々《やう/\》
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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 凹凸《でこぼこ》の石高路《いしだかみち》 その往還を左右から挾んだ低い茅葺屋根が、凡そ六七十もあらう。何《ど》の家も、何の家も、古びて、穢なくて、壁が落ちて、柱が歪んで、隣々に倒《のめ》り合つて辛々《やう/\》支へてる樣に見える。家の中には生木の薪を焚く煙が、物の置所も分明《さだか》ならぬ程に燻《くすぶ》つて、それが、日一日|破風《はふ》と誘ひ合つては、腐れた屋根に這つてゐる。兩側の狹い淺い溝には、襤褸片《ぼろきれ》や葫蘿蔔《にんじん》の切端《きれつぱし》などがユラユラした涅泥《ひどろ》に
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