女郎買の歌
石川啄木

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)頽唐派《デカダンは》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから5字下げ]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)いろ/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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『惡少年を誇稱す
糜爛せる文明の子』
[#ここで字下げ終わり]

 諸君試みに次に抄録する一節を讀んで見たまへ。

     ○

 しばらくは若い人達の笑聲が室の中にみちて、室の中は蒸すやうになつた。その中に頼んだ壽司とサイダーが運ばれたので、みんな舊の席へかへつた。舊の席に就いて、それから壽司とサイダーを飮み乍らまた談話が開始された。それからそれへといろ/\おもしろい話の花が咲く。瓦斯が明るく室中をてらして、かうして若い人達の並んでゐるところを見ると、そゞろに腕の鳴るのを覺える。何か新らしい事業をしたい、新らしい運動、新らしい努力を詩歌壇にやつて見たい…………さういふ念が頻りに起つて來る。
『これだけ居れば何でも出來るね』
 集つてゐるとこ
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