札幌
石川啄木

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)土地《ところ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)洋風|擬《まが》ひ

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「麾」の「毛」に代えて「公の右上の欠けたもの」、第4水準2−94−57]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)だん/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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 半生を放浪の間に送つて来た私には、折にふれてしみ/″\思出される土地《ところ》の多い中に、札幌の二週間ほど、慌しい様な懐しい記憶を私の心に残した土地《ところ》は無い。あの大きい田舎町めいた、道幅の広い、物静かな、木立の多い、洋風|擬《まが》ひの家屋《うち》の離れ/″\に列んだ――そして甚※[#「麾」の「毛」に代えて「公の右上の欠けたもの」、第4水準2−94−57]《どんな》大きい建物も見涯《みはて》のつかぬ大空に圧しつけられてゐる様な、石狩平原の中央《ただなか》の都の光景《あ
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