Iはあの通りの気むつかしやで、滅多に他人と口をきこうともしませんでしたから。
雨蛙はこっそり無花果の葉の裏をのぞき込みました。そこには柄のついた雨除け眼鏡をはめた蝸牛がいました。この友達は今日もいつものように大がかりに自分の家を背にしょっていました。
「や。お早う。やっぱりお前だったな。」
蝸牛は老人のように眼鏡越しに相手を見ました。
「お早う。上機嫌ですな、先生。」
「先生だって。おいおい、何だってそんなにあらたまるんだい。今朝に限って。」
雨蛙はからかわれでもしたようにいやな顔をしました。
「気に触ったらごめんなさい。じゃ、やっぱりこれまで通り、お前と呼ばしてもらおうか。」
蝸牛の態度には、どこかにあらたまったところがありました。きさくな雨蛙は、それが気に入らないように頬をふくらませていました。
「お前で結構さ。もともとおれたちは長い間の朋輩つきあいで、お天気嫌いな癖も、お互いにもってる仲じゃないか。」
「そう言ってくれるとうれしい。実はさっきお前も知っているあの従弟のなめくじから、お前の噂を聞いて、すっかり感心したもんだから、つい、その……」蝸牛はてれかくしに眼鏡をはずし
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