チくり俺に生写しだよ。これだったら三年かかったのに、少しも無理はないはずだ。」
と言って、大喜びに喜びました。しかし、小僧が半ば得意そうに、半ば言訳がましく、先刻のいきさつを話しながら、ふところから取出した今一枚の姿絵を見ると、また気むつかしくなりました。そしてやくざなものを扱うようにそれをそこに投げ出しました。
「何だ。つまらない。お前にちっとも似てやしないじゃないか。」
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道風の見た雨蛙
少年少女のために
細かい秋の雨がびしょびしょと降りしきる朝でした。久しぶりの雨なので、雨蛙はもう家にじっとしていられなくなって、上機嫌で散歩に出ました。濡れそぼった無花果の広い葉からは、甘そうな雫がしたたり落ちていました。雨蛙は竹垣の端からその葉の上へひょいと飛び移るなり、自慢の咽喉で、
「け、け、け……」
と一声鳴いてみました。すると、だしぬけにどこからか、
「先生。上機嫌ですな。」
と、声がかかりました。雨蛙はその声の主が誰であるかをすぐに感づきました。こんな雨の日に外を出歩こうというものは、自分を取り除けては、蟹と蝸牛《かたつむり》の外には誰もいないのに、
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