゚て、大きな欠伸《あくび》をするのが眼につきました。
「いよう、黒外套《くろがいとう》の哲学者先生。お久しぶりですな。」剽軽者《ひょうきんもの》の一羽の雀は心安立《こころやすだて》と御機嫌とりとからこんな風に呼びかけました。「先生は唯今私達の仲間がみんなおめでたく出来てるようにおっしゃいましたね。」
「いったよ。確かにいった。実際そうなんだから仕方がない。」
黒猫の眼は金色に輝きました。
「何がおめでたいんだか、そのわけを聞かしてもらおうじゃないか。」
雀の二、三羽が、不平そうにそっと嘴を突らしました。
「望みならいって聞かそう。」黒猫は哲学者の冷静を強いて失うまいとするように、長い口髭を一本一本指でしごきながらいいました。「お前達は人間の描いたものには、もう一切目を藉《か》さない。そうすれば欺かれる心配がなくなるから、自然画の評判も立たなくなるわけだと思ってるらしいが、それがおめでたくて何だろう。画の評判ってものは、お前達が立てるのじゃなくて、ほんとうは世間のするしわざじゃないか。」
「世間。おれはまだ世間ってものを見たことがない。」
第一の雀は不思議そうな顔をして、第二の雀を
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