カれて、摩訶不思議な力を身に具えている自分の世間の狭さ、窮屈さを心から悲しんだという事です。
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   老和尚とその弟子

 名高い西宮海清寺の住職南天棒和尚の弟子に、東馬《とうま》甚斎という居士があった。満洲に放浪していた頃は、馬賊の群に交って、相応な働をしたと言われるほどあって、筋骨の逞しい、鬼のようにいかつい恰幅をした壮士で、日本に帰って来てからは、そこらの電車に乗るのにいつも切符というものを持たないで、車掌がそれを喧《やかま》しく言うと、
「俺は東馬だ。顔を見覚えておけ、顔を……」
と獣のような不気味な顔を、相手の鼻先に突き出すので、車掌も運転手も度胆をぬかれて、ぶつくさ呟きながらも、大抵はそのまま見遁していたものだった。
 あるとし、満洲から帰って海清寺に落ちついた甚斎は、僧堂に自分の気に添わない雲水が二、三人いることに気がついた。
「あんなのは、一日も早く追い出さなくちゃ。和尚の顔にもかかわることだ。」
 甚斎は腹のなかでそう思ったらしかった。彼はその翌日から庫裡《くり》へ顔を出した。そして雲水たちの食事の世話を焼きだした。
 ある朝、雲水たちは汁鍋の蓋を取っ
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