ゥった。病人があれば、どんな汚い家にでも訪ねて往かなければならない医者のからだは、決して安心の出来る客人ではなかった。しかし、親孝行の彼は、母の病が治したさの一念から、目をつぶって某という医者を迎えることにした。
 医者は町に住んでいた。雲林はそれを迎えに自分の愛馬を送った。馬は主人の清潔好きな癖から、毎日洗い清められて、雪のように白く輝いていた。
 平素から雲林が他人を汚いもの扱いにする癖を知っていて、それをにがにがしいことに思っていた医者は、馬に跨るが早いか、道のぬかるみを選って歩かせ初めた。
 その日はちょうど大雨の後だったので、道のところどころには汚い水溜があった。そんなところへ来ると、医者はわざわざ飛び下りて馬の腹や、尻っぺたを思いきり泥水で汚した。
 医者が雲林の家に着いた時には、馬はどぶ鼠のように汚くなっていた。出迎えた雲林は尻目にそれを見て苦りきっていたが、大事な場合だったので、じっと辛抱していた。医者は導かれて病室に通ったが、出入にそこらの道具に衝き当ったり、主人が大事の文房具を見ると、わざわざ立停って汗だらけの手でいじくりまわしたりした。
 診察がすんで、医者の姿が
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